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福音のヒント

主日のミサの福音を分かち合うために

「聖書の集い」について  

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はじめに

フランシスコ教皇は2013年11月、使徒的勧告『福音の喜びEvangelii Gaudium』を発表されました。この使徒的勧告は2012年10月に「新しい福音宣教」をテーマとして開催されたシノドス(世界代表司教会議)の議論を受けて書かれたものです。フランシスコ教皇によれば「新しい福音宣教」とは、キリストを知らない人だけでなく、キリスト信者を含めたすべての人に福音を告げ知らせることです。そのために神のことばである聖書は欠かせないものです。

「福音宣教全体は、神のことばに根ざし、それを聞き、黙想し、それを生き、祝い、あかしします。聖書は福音宣教の源泉です。神のことばを『ますますあらゆる教会活動の中心に置く』ことが絶対に必要です。聴いて祝うみことばがー何よりも感謝の祭儀の中でー、キリスト者を養い、内的に強め、日々の生活の中で福音を真にあかしすることができるようにしてくれます。」(174)

「聖書の学び(study)は、すべての信者に開かれていなければなりません。重要なことは、啓示されたみことばが、わたしたちのカテケージスと、信仰を伝えるわたしたちのあらゆる努力を、徹底的に豊かにしてくださることです。福音化には、みことばに親しむことが必要です。また、教区や小教区、その他カトリックの諸団体には、聖書の学びに真剣に粘り強く取り組むこと、さらに個人や共同での霊的読書を促すことが求められています。」(175)

わたしたちが一緒に聖書を読もうとするのは、信仰養成あるいは霊的成長のためにそれが必要不可欠だからです。
ここでは、実際に何人かの信徒(もちろん、司祭・修道者でもかまいません)が、集まって一緒に聖書を読み、祈り、霊的に成長していこうとするための1つの方法を提案します。
もちろん、すでにあるさまざまなプログラムも役に立ちます。「聖書100週間」や「7ステップス」などは、定評のあるプログラムです。

ここでは、日曜日のミサの福音を用いた、分かち合いと祈りの集いの方法を紹介します。そのような集いを「聖書の集い」と呼ぶことにしています。一つの提案ですが、実際に始めてみて、ご意見をお聞かせいただければ幸いです。司祭が定住しておらず信仰養成講座がほとんど開かれていない共同体などに、特にお勧めしたいと思います。



「聖書の集い」について

「聖書の集い」は、福音を一緒に読み、一緒に味わい、共に祈る集まりです。聖書の集いは次のことを目指しています。

(1) わたしたちの現実の中で神がともにいてくださることを発見する
(2) ともに信仰の道を歩む仲間作り
(3) 霊的成長

誰かがこれをやってみよう、と思って、別の誰かが賛同したところから、すべては始まります。
参加者は、誰でも参加できるオープンなものでも、逆に、ある共通点をもった人に限ってもかまいません。年代、置かれている状況、抱えている悩みなど、共通のものを持った人でなければ、分かち合いにくいことがあるからです。
人数は多すぎないほうがよいでしょう。10人を超えたら別のグループを作るとよいでしょう。
場所は家庭でも、教会の一室でも可能です。教会内で呼びかけるときは、主任司祭と相談して、主任司祭の了解のもとに始めてください。


「聖書の集い」の進め方

毎回、次のような流れで行ないます。

(1) 短い自己紹介(皆が知り合っている場合には必要ありません)
(2) はじめの祈り(司会者が唱えます)
(3) 次の日曜日のミサの福音の箇所をゆっくり読む。
(4) 「福音のヒント」を読む。
(5) もう一度、福音の同じ箇所を読む。
(5) 5分ぐらい、各自が沈黙のうちに福音の言葉を味わう。
(6) 心に響いたことを分かち合う。
(7) 神が今日のわたしたちに何を呼びかけておられるかを受け取るために、 しばらく沈黙のうちに祈る。
(8) 参加者が自由に自分のことばで祈りをささげる。(最後に一緒に主の祈りを唱える)
(9) 結びのことば(司会者が読む)

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『聖書の集い』ガイド ダウンロード用PDF
【 参加者用 】 【 司会者用 】
---------------------------
※「『聖書の集い』ガイド(司会者用)」を使えば、どなたでも聖書の集いが始められるようになっています。


気をつけるべきこと

「安心」ということは分かち合いが成り立つための前提条件です。参加者が安心して分かち合いをすることができるために、次の点に注意します。

1.集いの場で聞いたことを他の場で話さない

そこで話されたことが、他の場所で他の人に伝わるならば、だれも安心して話すことはできません。「分かち合い」で聞いたことはわたしたち一人一人の胸の中に収めることを約束します。言った本人に対しても、別の場で「あの時あなたはこう言いましたけれど…」というような言い方はすべきではありません。秘密を守ることができないグループは簡単に崩壊してしまいます。

2.支配するのは神の霊

人が集まるところに「人を支配したい」という誘惑が生まれます。「教えたい」「コントロールしたい」「自分が一番になりたい」その誘惑に打ち勝つことが必要です。限られた人だけが長時間話すのも禁物です。司会者やグループの代表は、奉仕者であるという意識を徹底しなければなりません。

誰かが聖書の箇所について質問をしたとき、それについて知識を持っている人が教えることは簡単です。しかし解説を始めた瞬間に「分かち合い」は終わってしまいます。この点に注意が必要です。何もすべてを理解する必要はないのです。話が途切れたとき、沈黙を埋めようとして話す必要もありません。その時は、神が沈黙のうちにわたしたちに語っていることを聞けばよいのです。なお、終了時間を守ることも大切です。
聖書の集いは、だれか人間が支配する場ではなく、すべての参加者が一人一人の心に働きかける聖霊の導きに従おうとする場なのです。

3.相手を批判しない、議論しない

自分の発言が人から批判されると、ある場合には非常に傷つき、もう二度と話すまい、と思うようになります。安心のためには「批判しない」という原則も大切です。大切なのは、人の言葉に耳を傾け、人の思いをそのまま受け取ろうとすることです。わたしたちは議論するために集まっているのではなく、霊的に成長するために集まっているのです。


「福音のヒント」について

「福音のヒント」は毎週日曜日のミサの福音を味わうためのヒントです。「聖書の集い」では、誰かが教える人ではありません。かと言って、ただ個人個人の感じ方だけで福音について語り合うことにも不安があるかもしれません。ここでは必要最小限の解説と、生活の中で聖書からの光を受け取るためのヒントが述べられています。一緒に聖書を読むときに役に立つのではないか、と思って作成しています。

なお、ミサの準備のために個人的に用いることもできますし、ミサに行けないときに聖書の箇所を味わうためにも役立てていただければ幸いです。

もう一つの使い方として、ミサがないときの「集会祭儀」で用いることも考えられます。説教がない場合に少しでも豊かに聖書からメッセージをいただくためです。3つの使い方があるでしょう。

(1) 前もって「福音の集い」でその箇所を分かち合った人の誰かが福音朗読後に話をする。
(2) 集会祭儀の福音朗読後に読んで、各自が沈黙のうちに味わう。
(3) 集会祭儀の福音朗読後に読んで、参加者で分かち合いをする(少人数の場合)。
いずれにせよ、集会祭儀でこれを用いる場合は、必ず主任司祭とよく相談してから用いてください。

   2014.4.14

幸田和生  



補:教皇フランシスコ『福音の喜び』からの抜粋
(新しい福音宣教における信仰養成や信仰の成長に関する『福音の喜び』の中の言葉を抜き書きしてみました。是非お読みください)

「宣教しなさいという主の命令は、信仰を成長させなさいという呼びかけも含んでいます。『あなたがたに命じておいたことをすべて守るように教えなさい』(マタイ28・20)。したがって最初の告知は、確かに、養成と成熟にもつながるはずです。」(160)
「成長しなさいというこの呼びかけを、もっぱら第一に教理に関する養成だと受け止めることは正しくありません。主の愛(his love)に対する応答として、主がわたしたちに示されたことを『守る』ことです。・・・『わたしがあなたがたを愛したように、互いに愛し合いなさい。これがわたしの掟である』(ヨハネ15・12)。」(161)
「こうした成長のために、教育やカテケージスが役に立ちます。」(163)
「カテケージスにおいても、最初の福音の告知、ケリュグマが重要な位置を占めることをわたしたちは再発見しました。・・・『イエス・キリストはあなたを愛し、あなたを救うためにいのちをささげました。キリストは今なお生きておられ、日々あなたのそばであなたを照らし、力づけ、解放してくださいます』。この最初の告知が『最初』と呼ばれるのは、その後忘れられて、それよりも大切な別のことに取って変わられるような最初のものという意味ではありません。質的な意味で第一だということです。」(164)
「一見『確実な』養成のために、ケリュグマについてのカテケージスを放棄しようと考えてはなりません。この告知よりも強く、深く、確実で、密で、知恵あるものはありません。キリスト教の養成はすべて、肉となり、よりよいものとなるまでケリュグマを深めていくことです。」(165)

Posted on 2016/04/14 Thu. 23:45 [edit]

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