福音のヒント

主日のミサの福音を分かち合うために

復活節第6主日 (2016/5/1 ヨハネ17章20-26節)  


教会暦と聖書の流れ


 実はこの箇所は復活節第7主日の福音の箇所です。来週の「主の昇天」の祭日は本来、復活祭後40日目の木曜日に祝われるはずですが、キリスト教国ではない日本のような国では第7主日に移して祝われます。そのため、日本では普通、復活節第7主日の朗読箇所(ヨハネ17章)は読まれません。そこで、この箇所を第6主日に移して読むことができます。
 今年は聖霊降臨の主日の福音箇所(ヨハネ14章15-16,23b-26節)が、復活節第6主日の箇所(ヨハネ14章23-29節)とかなり重なっているので、あえてこの第7主日の箇所で「聖書の集い」を行なうことを提案したいと思います。一読すれば、主日のミサで読まれないのはあまりにも惜しい箇所だということが分かるでしょう。


福音のヒント


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(1) ヨハネ福音書は、最後の晩さんの席で起こったことを13~17章までの長い記録として伝えています。13~16章は主に「告別説教」と呼ばれるイエスの遺言のような言葉です。そして17章でイエスは父である神に向かって祈ります。6節以降でイエスは弟子たちと信じるすべての人々のために祈りますので、「大祭司としての祈り」と呼ばれることがあります。「ヘブライ人への手紙」はイエスを「大祭司」と呼びますが、ヨハネ福音書がここでイエスを大祭司として示そうとしているとまで考える必要はなさそうです。
 17章は次のように始まります。「イエスはこれらのことを話してから、天を仰いで言われた。『父よ、時が来ました。あなたの子があなたの栄光を現すようになるために、子に栄光を与えてください』」(1節)。1-5節の祈りの中で、イエスはまず、父である神とご自分との深い一致を確認するのです。

(2) 6-20節の弟子たちのための祈りの中には次のような言葉があります。
 「わたしは、もはや世にはいません。彼らは世に残りますが、わたしはみもとに参ります。聖なる父よ、わたしに与えてくださったみ名によって彼らを守ってください。わたしたちのように、彼らも一つとなるためです」(11節)。
 「真理によって、彼らを聖なる者としてください。あなたのみ言葉は真理です。わたしを世にお遣わしになったように、わたしも彼らを世に遣わしました。彼らのために、わたしは自分自身をささげます。彼らも、真理によってささげられた者となるためです」(17-19節)。なお、この「聖なる者とする」と「ささげる」はギリシア語では同じ「ハギアゾーhagiazo」です。これは「聖なる」と訳されるギリシア語の「ハギオスhagios」という形容詞を動詞にした言葉ですので、3箇所とも「聖別する」「聖別される」と訳したほうがよいかもしれません。新共同訳が「ささげる」と訳すのは、この言葉の中に「完全に神のものとなる」という意味だけでなく、「自分のすべてをいけにえとして神にささげる」という意味を受け取っているからでしょう。

(3) これに続くのがきょうの箇所ですが、ここでは「彼ら(=弟子たち)の言葉によってわたしを信じる人々のために」イエスは祈ります。まさに後の時代のわたしたちのための祈りだと言えます。それは生前のイエスの最後の日の祈りというよりも、むしろ、目に見えないが今もわたしたちのうちに生きているイエスの取り次ぎの祈りと言うべきかもしれません。「すべての人を一つにしてください」とイエスは祈りますが、この「すべての人」は全人類のことでしょうか?文脈を見ると「キリストを信じるすべての人」と採ったほうが良さそうです。21,23,25節に「世」という言葉があり、ここでは「キリストを信じる人々」と「キリストを知らない世」とが対比して語られているからです。

(4) この信じる人々の一致は、「父よ、あなたがわたしの内におられ、わたしがあなたの内にいるように」(21節)と言われる一致です。互いが互いのうちに住むという、イエスと父との深い一致にあずかることなのです。23節で「(あなたが)わたしを愛しておられたように、彼らをも愛しておられた」とあり、26節では「わたしに対するあなたの愛が彼らの内にあり、わたしも彼らの内にいる」と言われているように、「一つになる」ことは「愛する」ことと結ばれています。ヨハネ13章34節、15章12,17節に「互いに愛し合いなさい」というイエスの新しい掟がありました。一つになるということは画一的になるということではなく、むしろ互いに深く結ばれ、互いに大切にし合い、そこに調和が生まれている、ということです。わたしたちキリスト信者の一致を考えるとき、このことは大切です。
 ミサを「一致の秘跡」ということがあります。ミサはキリストとわたしたち、キリストに結ばれたわたしたち同士の深い一致のしるしです。一つの食卓を囲み、一つのパンと一つの杯に共にあずかり、神からいただく恵みを皆が分かち合うところにある一致を表すものなのです。これも「一つになる」ということを考えるときのヒントになるでしょう。

(5) キリスト者が一つであることによって、「世は、あなたがわたしをお遣わしになったことを、信じるようになります」(21節)と言われ、また、「世が知るようになります」(23節)とも言われます。このことは大切です。
 25節では「世はあなたを知りません。…この人々は…知っています」と言われています。「知る」はヨハネ10章の羊と羊飼いのたとえの中で何度も使われた言葉ですが、知識の問題というよりも、両者の深い交わりを表す言葉です。ヨハネの時代の教会には、キリストを受け入れない「世」との厳しい対立がありました。ここでもその状況が反映していることは確かです。しかし、世は決して救われないと決めつけているのではないのです。むしろイエスも弟子たちもこの「世」に「遣わされた者」です。神の望みはすべての人が愛と平和のうちに生きることです。そのためにイエスの弟子は世に派遣され、神の愛とイエスの愛をあかしするのです。キリスト者の一致が大切なのは、それが神の愛をあかしすることであり、最終的には全人類の一致のためだからだと言えるでしょう。




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聖書朗読箇所

第一朗読 使徒言行録15・1-2, 22-29


 1〔そのころ、〕ある人々がユダヤから下って来て、「モーセの慣習に従って割礼を受けなければ、あなたがたは救われない」と兄弟たちに教えていた。2それで、パウロやバルナバとその人たちとの間に、激しい意見の対立と論争が生じた。この件について使徒や長老たちと協議するために、パウロとバルナバ、そのほか数名の者がエルサレムへ上ることに決まった。
 〔この問題について協議するためにエルサレムで集まった〕22使徒たちと長老たちは、教会全体と共に、自分たちの中から人を選んで、パウロやバルナバと一緒にアンティオキアに派遣することを決定した。選ばれたのは、バルサバと呼ばれるユダおよびシラスで、兄弟たちの中で指導的な立場にいた人たちである。23使徒たちは、次の手紙を彼らに託した。「使徒と長老たちが兄弟として、アンティオキアとシリア州とキリキア州に住む、異邦人の兄弟たちに挨拶いたします。24聞くところによると、わたしたちのうちのある者がそちらへ行き、わたしたちから何の指示もないのに、いろいろなことを言って、あなたがたを騒がせ動揺させたとのことです。25それで、人を選び、わたしたちの愛するバルナバとパウロとに同行させて、そちらに派遣することを、わたしたちは満場一致で決定しました。26このバルナバとパウロは、わたしたちの主イエス・キリストの名のために身を献げている人たちです。27それで、ユダとシラスを選んで派遣しますが、彼らは同じことを口頭でも説明するでしょう。28聖霊とわたしたちは、次の必要な事柄以外、一切あなたがたに重荷を負わせないことに決めました。29すなわち、偶像に献げられたものと、血と、絞め殺した動物の肉と、みだらな行いとを避けることです。以上を慎めばよいのです。健康を祈ります。」


第二朗読 黙示録22・12-14, 16-17, 20(復活節第七主日の箇所)


 〔わたしヨハネは、語りかける声を聞いた。〕12「見よ、わたしはすぐに来る。わたしは、報いを携えて来て、それぞれの行いに応じて報いる。13わたしはアルファであり、オメガである。最初の者にして、最後の者。初めであり、終わりである。
 14命の木に対する権利を与えられ、門を通って都に入れるように、自分の衣を洗い清める者は幸いである。
 16わたし、イエスは使いを遣わし、諸教会のために以上のことをあなたがたに証しした。わたしは、ダビデのひこばえ、その一族、輝く明けの明星である。」17“霊”と花嫁とが言う。「来てください。」これを聞く者も言うがよい、「来てください」と。渇いている者は来るがよい。命の水が欲しい者は、価なしに飲むがよい。
 20以上すべてを証しする方が、言われる。「然り、わたしはすぐに来る。」アーメン、主イエスよ、来てください。


福音朗読 ヨハネ17・20-26(復活節第七主日の箇所)


 〔そのとき、イエスは天を仰ぎ、弟子たちのために祈って言われた。「聖なる父よ、〕20彼らのためだけでなく、彼らの言葉によってわたしを信じる人々のためにも、お願いします。21父よ、あなたがわたしの内におられ、わたしがあなたの内にいるように、すべての人を一つにしてください。彼らもわたしたちの内にいるようにしてください。そうすれば、世は、あなたがわたしをお遣わしになったことを、信じるようになります。22あなたがくださった栄光を、わたしは彼らに与えました。わたしたちが一つであるように、彼らも一つになるためです。23わたしが彼らの内におり、あなたがわたしの内におられるのは、彼らが完全に一つになるためです。こうして、あなたがわたしをお遣わしになったこと、また、わたしを愛しておられたように、彼らをも愛しておられたことを、世が知るようになります。24父よ、わたしに与えてくださった人々を、わたしのいる所に、共におらせてください。それは、天地創造の前からわたしを愛して、与えてくださったわたしの栄光を、彼らに見せるためです。25正しい父よ、世はあなたを知りませんが、わたしはあなたを知っており、この人々はあなたがわたしを遣わされたことを知っています。26わたしは御名を彼らに知らせました。また、これからも知らせます。わたしに対するあなたの愛が彼らの内にあり、わたしも彼らの内にいるようになるためです。」



Posted on 2016/04/22 Fri. 19:53 [edit]

category: 2016年(主日C年)

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