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福音のヒント

主日のミサの福音を分かち合うために

復活節第6主日 (2018/5/6 ヨハネ15章9-17節)  


教会暦と聖書の流れ


 きょうの箇所は先週の「ぶどうの木と枝」のたとえに続く箇所です。
ヨハネ福音書13-16章は、最後の晩さんの席で、イエスが世を去るに当たって、世に残していく弟子たちに向けて語られた遺言のような長い説教を伝えています。しかし、14章の終わり(31節)には「さあ、立て。ここから出かけよう」というイエスの言葉があって、そこで一旦この場面が終わっているようです。15章以下はおそらく後から拡大された部分でしょう。15-16章では13-14章と同じようなテーマが繰り返され、より深められていると言うべきかもしれません。きょうの箇所の愛の掟も、13章ですでに一度語られていました。「あなたがたに新しい掟を与える。互いに愛し合いなさい。わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい。互いに愛し合うならば、それによってあなたがたがわたしの弟子であることを、皆が知るようになる。」(13章34-35節)。この箇所を重ね合わせながら、きょうの箇所を味わうと良いでしょう。


福音のヒント


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  (1) 先週の箇所の「枝がぶどうの木につながっている」ときょうの箇所の「愛にとどまる」には同じ動詞(ギリシア語の「メノーmeno」)が使われています。9-10節は1-8節のぶどうの木と枝のたとえの結論だと言えるでしょう。
 10節の「掟」の内容については、12節で明らかにされます。11節の「これらのこと」は1-10節全体を指しています。「喜び」はイエスとわたしたちが、ぶどうの木と枝のように愛によってつながっていることなのです。

  (2) 12節の「互いに愛し合いなさい」はあまりにも有名なイエスの言葉です。ここでイエスは確かに命令法で「愛し合え」と言い、さらに「これがわたしの掟である」(17節では「これがわたしの命令である」)と言っています。しかし「愛とは命令されたから愛するというようなものか」という疑問を感じる人がいるかもしれません。愛というのは心の中から自然に湧き上がるもので、命令されて義務的に愛するというのは、本当の愛ではない、と言うこともできるでしょう。そんなことを考えるとき、「わたしがあなたがたを愛したように」という言葉はとても大切になります。イエスは愛の掟をただの命令として弟子たちに与えているのではなく、イエスが弟子たちを愛した、その愛に基づいて、弟子たちに互いに愛し合う生き方を命じているのです。弟子たちの側からすれば、「イエスがわたしたちを愛してくださった。そのようにわたしたちは互いに愛し合うべきだ」ということになりますが、このとき、弟子たちにとってイエスの愛は単なる模範ではなく、弟子たちが愛することの根拠だと言えるのです。「このわたしを愛してくださった」というイエスの愛を深く受け取ったからこそ、弟子たちは愛することができるし、愛さずにはいられなくなる。これは義務や命令の世界ではなく、恵みの世界です。「掟」や「命令」と言っても実は外面的な規則のようなものではなく、わたしたちの内面に働きかけて、わたしたちの生き方を新たにしていく神の導きによることなのです。

  (3) 12節の言葉についてはもう一つの疑問もありえます。それは、「互いに愛し合う」というのは仲間内の愛であって、非常に内向きの姿勢に聞こえるが、イエスはそんなことを教えたのか、という疑問です。これについては、13節の「友のために自分の命を捨てること、これ以上に大きな愛はない」という言葉から考えてみましょう。
 「友のために・・・」という言葉は、わたしたちが互いに愛し合うときの愛について語っている言葉でしょうか? むしろイエスが弟子たちを愛したその愛が「友のために命を捨てる」愛だったと言うのではないでしょうか。ここでイエスは「敵のために命を捨てる」とか「自分に対する裏切り者のために命を捨てる」とは言いません。イエスははっきりと「わたしはあなたがたを友と呼ぶ」(15節)と宣言されます。さらにその理由として「父から聞いたことをすべてあなたがたに知らせたからである」と言われます。ここで「友」という言葉が使われているのは、イエスと弟子たちとの心のつながりを表すためではないでしょうか。イエスがここで語っている愛は、外面的な行為としての愛の業(わざ)よりも「友としての愛」、ほんとうに深く心のつながりがあるものとしての愛なのです。ほんとうの愛は一方通行ではありえないはずです。この箇所でのテーマは、弟子たち相互の間に深い心の結びつき(=友としての愛)が生まれることであって、ほかの人を愛さなくてもよい、ということが言われているのではないのです。
 なお、「命を捨てる」の「捨てる」は、10章11, 17-18節と同じく普通の「置く」という言葉が使ってありますから、「差し出す」とか「投げ出す」と訳したほうがよいかもしれません(B年復活節第4主日の「福音のヒント」参照)。

  (4) 16節には「選び」というテーマが出てきます。聖書が語る神の選びは、人間の選びとはまったく異なります。人間は一番良いものを選ぼうとしますが、神はむしろ一番弱く、貧しいものを選ばれます。それはすべての人を救うためです。イスラエルの民の選びもキリスト者の選びもそういうものでした(申命記7章7節、Iコリント1章26-29節など参照)。人間が優れているから神に選ばれ、救われるのではなく、神がすべての人を救おうとしておられるから、ある人を選び、その人をとおしてほかの人々に救いをもたらそうとされるのです。だから「選ばれてラッキー!」ということで終わるのではなく、救いを受けた人間には、ほかの人々の救いのために働く使命が与えられるのです。
 ここでのイエスの選びも同じです。最後までイエスについていくことのできない弱い弟子たちをイエスは選び、友と呼びます。「わたしが選んだ」ということも「友と呼ぶ」ことも、特定の弟子たちのことではありません、イエスの弟子となったすべてのキリスト信者のことです。そのわたしたちの中に「互いに愛し合いなさい」というイエスの言葉が少しでも実現しているならば、イエスは復活して今もわたしたちのうちに生きていてくださると言えるのです。そのような体験がわたしたちにもあるでしょうか。




ダウンロードできます
「福音のヒント(PDF)」
 ※集い用に、A4サイズ2ページで印刷できます。


聖書朗読箇所

第一朗読 使徒言行録10・25-26、34-35、44-48


 25ペトロが〔カイサリアに〕来ると、コルネリウスは迎えに出て、足もとにひれ伏して拝んだ。26ペトロは彼を起こして言った。「お立ちください。わたしもただの人間です。」
 34〔そして、〕ペトロは口を開きこう言った。「神は人を分け隔てなさらないことが、よく分かりました。35どんな国の人でも、神を畏れて正しいことを行う人は、神に受け入れられるのです。
 44ペトロがこれらのことをなおも話し続けていると、御言葉を聞いている一同の上に聖霊が降った。45割礼を受けている信者で、ペトロと一緒に来た人は皆、聖霊の賜物が異邦人の上にも注がれるのを見て、大いに驚いた。46異邦人が異言を話し、また神を賛美しているのを、聞いたからである。そこでペトロは、47「わたしたちと同様に聖霊を受けたこの人たちが、水で洗礼を受けるのを、いったいだれが妨げることができますか」と言った。48そして、イエス・キリストの名によって洗礼を受けるようにと、その人たちに命じた。それから、コルネリウスたちは、ペトロになお数日滞在するようにと願った。


第二朗読 一ヨハネ4・7-10


  愛する者たち、互いに愛し合いましょう。愛は神から出るもので、愛する者は皆、神から生まれ、神を知っているからです。愛することのない者は神を知りません。神は愛だからです。神は、独り子を世にお遣わしになりました。その方によって、わたしたちが生きるようになるためです。ここに、神の愛がわたしたちの内に示されました。わたしたちが神を愛したのではなく、神がわたしたちを愛して、わたしたちの罪を償ういけにえとして、御子をお遣わしになりました。ここに愛があります。


福音朗読 ヨハネ15・9-17


 〔そのとき、イエスは弟子たちに言われた。〕「父がわたしを愛されたように、わたしもあなたがたを愛してきた。わたしの愛にとどまりなさい。わたしが父の掟を守り、その愛にとどまっているように、あなたがたも、わたしの掟を守るなら、わたしの愛にとどまっていることになる。
 これらのことを話したのは、わたしの喜びがあなたがたの内にあり、あなたがたの喜びが満たされるためである。わたしがあなたがたを愛したように、互いに愛し合いなさい。これがわたしの掟である。友のために自分の命を捨てること、これ以上に大きな愛はない。わたしの命じることを行うならば、あなたがたはわたしの友である。もはや、わたしはあなたがたを僕とは呼ばない。僕は主人が何をしているか知らないからである。わたしはあなたがたを友と呼ぶ。父から聞いたことをすべてあなたがたに知らせたからである。あなたがたがわたしを選んだのではない。わたしがあなたがたを選んだ。あなたがたが出かけて行って実を結び、その実が残るようにと、また、わたしの名によって父に願うものは何でも与えられるようにと、わたしがあなたがたを任命したのである。互いに愛し合いなさい。これがわたしの命令である。」

Posted on 2018/04/27 Fri. 09:53 [edit]

category: 2018年(主日B年)

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