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福音のヒント

主日のミサの福音を分かち合うために

洗礼者聖ヨハネの誕生 (2018/6/24 ルカ1章57-66,80節)  


教会暦と聖書の流れ


 洗礼者ヨハネの誕生の祭日は毎年6月24日に祝われますが、今年はこの日が日曜日にあたり、年間主日よりもこちらが優先して祝われることになります。
 洗礼者ヨハネの誕生が父ザカリアに告げられてから、「六か月目に、天使ガブリエルは、ナザレというガリラヤの町に神から遣わされた」(ルカ1章26節)とあり、そこでイエスの誕生が告げられているので、主の降誕の6ヶ月前にこの祭日を祝うことになっています。きょうの祭日と福音の内容は、イエスの誕生の出来事と密接に関連しているのです。


福音のヒント


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  (1)  エリサベトは洗礼者ヨハネの母親です。彼女はずっと子どもがないまま、高齢になっていました。当時の女性にとって子どもを産めないことは恥と考えられていました。エリサベトは子を身ごもったことを知ったとき、「主は今こそ、こうして、わたしに目を留め、人々の間からわたしの恥を取り去ってくださいました」(ルカ1章24節)と言っています。子どもを産んだことのない高齢の女性から子どもが生まれることの中には、人間の力ではなく、神の力が働いていると考えられました。「主がエリサベトを大いに慈(いつく)しまれた」というのはそのためです。
 「近所の人々や親類は、主がエリサベトを大いに慈しまれたと聞いて喜び合った」(ルカ1章58節)。洗礼者ヨハネの誕生は周囲の人々に大きな喜びを与えます。「喜び合った」は直訳では「彼女と一緒に喜んだ」です。一人の喜びがみんなの喜びになる、そこには素晴らしいコミュニティーの姿があると言えるのではないでしょうか。

  (2) 「割礼」は、生後8日目に男子の包皮を切り取る儀式ですが、この儀式は、人が神の民の一員となることを意味していました。この日に命名も行なわれました。
 「ヨハネ」という名は、旧約聖書では「ヨハナン」と記されますが、この名前には「主は恵み深い」という意味があります。ここでは名前の意味よりも、それが天使によってザカリアに告げられた名(ルカ1章13節)であることのほうが重要でしょう。ザカリアは高齢の自分たち夫婦から子どもが生まれるという天使のお告げを信じなかったため、口が利けなくなっていました。62節に「手振りで尋ねた」とありますから、耳も聞こえなくなっていたようです。エリサベトはそれまで、ザカリアが天使に告げられた言葉を聞いていなかったと考えるのが自然でしょうか。そして、「名はヨハネとしなければなりません」というエリサベトの言葉はザカリアには聞こえていなかったはずです。だから、ザカリアが「この子の名はヨハネ」と書き、神を賛美し始めたことに多くの人が驚いたというわけです。
 「近所の人々は皆恐れを感じた」(65節)という時の「恐れ」は、「畏(おそ)れ」を表す言葉でもあります。これは神の力や神の現れに接して圧倒された人間の様子を表しています。
 なお、66節の「主の力が及んでいた」は直訳では「主のみ手が彼とともにあった」です。

  (3) 省略されている67-79節には、ザカリアが神を賛美して語った言葉が伝えられています。この賛歌は「ザカリアの預言」とか「ザカリアの歌」と呼ばれています。後半にこういう言葉があります。「幼子(おさなご)よ、お前はいと高き方の預言者と呼ばれる。主に先立って行き、その道を整え、主の民に罪の赦(ゆる)しによる救いを/知らせるからである。これは我らの神の憐(あわ)れみの心による。この憐れみによって、/高い所からあけぼのの光が我らを訪れ、暗闇と死の陰に座している者たちを照らし、/我らの歩みを平和の道に導く」(76-79節)。父ザカリアは幼子の将来について預言しています。「主に先立って」の「主」は来たるべき救い主を暗示しています。「あけぼのの光」も来たるべき方を指しています。この「あけぼのの光」というところから朝の賛美に用いられるようになり、今も「教会の祈り(聖務日課)」の朝の祈りの中で毎日歌われています。

  (4) ルカ福音書は洗礼者ヨハネの誕生・成長の話とイエスの誕生・成長の話を並行させ、2人が同じ神の救いの計画の中にいることを印象づけています。ただし、神の子であるイエスの場合、さらに特別なことがあるという面もそこには表れています。
 高齢の女性が出産することの中には、神の力が働いていると考えられましたが、イエスの母マリアは処女でイエスを身ごもったので、その誕生は人間の力によるのではなく神の力によるものだということが、さらに徹底的に強調されています。誕生の場面についても違いがあります。イエスの誕生はヨハネの誕生よりもひそやかな出来事でした。イエスはヨセフとマリアの旅先で生まれ、宿屋には泊めてもらえず、祝いに駆けつけたのは貧しく、町の人々からさげすまれていた羊飼いだけでした。そこにはイエスの成人してからの活動と受難の姿が暗示されています。しかし、いずれにせよ、大きな喜びに満ちています。それはこの子どもをとおして神の救いの約束が実現していくという喜びです。

  (5) 80節の「幼子は身も心も健やかに育ち」は、直訳では「この幼子は成長し、霊が強められ」です。イエスについては2章40節で「幼子はたくましく育ち、知恵に満ち、神の恵みに包まれていた」と言われ、2章52節では「イエスは知恵が増し、背丈も伸び、神と人とに愛された」と言われています。ここでもイエスのほうが、神の子としての特徴が表れていると言えるでしょう(なお、「イスラエルの人々の前に現れるまで荒れ野にいた」と言われますが、これはヨハネが成長してから活動を始めるまでのことです)。洗礼者ヨハネやイエスという特別な人の成長のことが述べられていますが、ここで、同じように力強く成長していくすべての子どもたちのことを思い浮かべてもよいのでしょう。




ダウンロードできます
「福音のヒント(PDF)」
 ※集い用に、A4サイズ2ページで印刷できます。


聖書朗読箇所

第一朗読 イザヤ40・1-6


1島々よ、わたしに聞け
遠い国々よ、耳を傾けよ。
主は母の胎にあるわたしを呼び
母の腹にあるわたしの名を呼ばれた。
2わたしの口を鋭い剣として御手の陰に置き
わたしを尖らせた矢として矢筒の中に隠して
3わたしに言われた
あなたはわたしの僕、イスラエル
あなたによってわたしの輝きは現れる、と。
4わたしは思った
わたしはいたずらに骨折り
うつろに、空しく、力を使い果たした、と。
しかし、わたしを裁いてくださるのは主であり
働きに報いてくださるのもわたしの神である。
5主の御目にわたしは重んじられている。
わたしの神こそ、わたしの力。
今や、主は言われる。
ヤコブを御もとに立ち帰らせ
イスラエルを集めるために
母の胎にあったわたしを
御自分の僕として形づくられた主は
6こう言われる。
わたしはあなたを僕として
ヤコブの諸部族を立ち上がらせ
イスラエルの残りの者を連れ帰らせる。
だがそれにもまして
わたしはあなたを国々の光とし
わたしの救いを地の果てまで、もたらす者とする。


第二朗読 使徒言行録13・22-26


 22〔その日、パウロは行った。「神は〕それからまた、サウルを退けてダビデを王の位につけ、彼について次のように宣言なさいました。『わたしは、エッサイの子でわたしの心に適う者、ダビデを見いだした。彼はわたしの思うところをすべて行う。』23神は約束に従って、このダビデの子孫からイスラエルに救い主イエスを送ってくださったのです。24ヨハネは、イエスがおいでになる前に、イスラエルの民全体に悔い改めの洗礼を宣べ伝えました。25その生涯を終えようとするとき、ヨハネはこう言いました。『わたしを何者だと思っているのか。わたしは、あなたたちが期待しているような者ではない。その方はわたしの後から来られるが、わたしはその足の履物をお脱がせする値打ちもない。』
 26兄弟たち、アブラハムの子孫の方々、ならびにあなたがたの中にいて神を畏れる人たち、この救いの言葉はわたしたちに送られ〔たのです。〕」


福音朗読 ルカ1・57-66、80


 57さて、月が満ちて、エリサベトは男の子を産んだ。58近所の人々や親類は、主がエリサベトを大いに慈しまれたと聞いて喜び合った。59八日目に、その子に割礼を施すために来た人々は、父の名を取ってザカリアと名付けようとした。60ところが、母は、「いいえ、名はヨハネとしなければなりません」と言った。61しかし人々は、「あなたの親類には、そういう名の付いた人はだれもいない」と言い、62父親に、「この子に何と名を付けたいか」と手振りで尋ねた。63父親は字を書く板を出させて、「この子の名はヨハネ」と書いたので、人々は皆驚いた。64すると、たちまちザカリアは口が開き、舌がほどけ、神を賛美し始めた。65近所の人々は皆恐れを感じた。そして、このことすべてが、ユダヤの山里中で話題になった。66聞いた人々は皆これを心に留め、「いったい、この子はどんな人になるのだろうか」と言った。この子には主の力が及んでいたのである。
 80幼子は身も心も健やかに育ち、イスラエルの人々の前に現れるまで荒れ野にいた。


Posted on 2018/06/15 Fri. 08:30 [edit]

category: 2018年(主日B年)

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