fc2ブログ

福音のヒント

主日のミサの福音を分かち合うために

待降節第3主日(2020/12/13 ヨハネ1章6-8,19-28節)  


教会暦と聖書の流れ


 教皇庁から出されている『典礼暦年に関する一般原則』(39)の中で、待降節は「愛と喜びに包まれた待望の時」であると言われています。特にこの第三主日は伝統的に「喜びの主日」と呼ばれ、救い主が確かに来られる、もうそこまで来ておられるという喜びの雰囲気をもって祝われます。福音は、先週のマルコ1章1-8節と同様、イエスの先駆者であった洗礼者ヨハネのことが読まれますが、きょうの箇所はヨハネ福音書から採られています。


福音のヒント


20171217
  (1) ヨハネ1章1-18節はこの福音書の「序文」と言われますが、きょうの箇所=6-8節はその中から採られています。ヨハネ福音書のはじめは次のようになっています。
 「1初めに言(ことば)があった。言は神と共にあった。言は神であった。2この言は、初めに神と共にあった。3万物は言によって成った。成ったもので、言によらずに成ったものは何一つなかった。4言の内に命があった。命は人間を照らす光であった。5光は暗闇の中で輝いている。暗闇は光を理解しなかった」
 「言(ことば)」はギリシア語で「ホ・ロゴスho logos」(hoは冠詞)と言います。この「ホ・ロゴス」とは何でしょうか。昔からいろいろな人がいろいろな解釈をしてきましたが、やはり「光あれ」という言葉で創造のわざを始められた神の言葉のイメージが大切です(創世記1章参照)。「言」とは無からすべてのものをお造りになった「神の力強い働きかけ」そのものだということができるでしょう。そして、1章14節には「言は肉となって、わたしたちの間に宿られた」とあります。「肉」は人間のことですが、「滅び行く、弱いものとしての人間」を指す言葉です。神の力強い働きかけが、一人の弱く、滅び行く生身の人間となったというのです(このヨハネ1章1-18節は「主の降誕・日中のミサ」で読まれる福音です)。きょうの箇所はその受肉のイエス、「世に来てすべての人を照らす光」であるイエスを証しし、指し示す人として洗礼者ヨハネを伝えています。

  (2) 序文のあと、1章19節から福音書の物語が始まりますが、そこでの洗礼者ヨハネについての見方も同様です。ヨハネ福音書は他の福音書と違って洗礼者ヨハネの生活や活動についてまったく述べていませんし、イエスがヨハネから洗礼を受けたという出来事さえ伝えません。この福音書では、ヨハネは「わたしはメシアではない」と公言し、「わたしは・・・声である」と宣言します。他の福音書も「荒れ野に叫ぶ者の声」というイザヤ40章3節を引用してヨハネの登場の意味を語りますが、ヨハネ自身が「声」であると明言するのはヨハネ福音書だけです。ヨハネ福音書にとって、洗礼者ヨハネはあくまでも「イエスを指し示す人」なのです。先週に続き、きょうの福音でもイエスは「後から来られる方」として予告されているだけで、直接は登場していません。しかし、本当のテーマは「イエスご自身」です。待降節の福音の箇所は、洗礼者ヨハネを見つめるためではなく、ヨハネが指し示した、来るべきイエスに心を向けるために選ばれている箇所なのです。

  (3) 「証しする」という言葉は深く受け取りたい言葉です。日本語では「証言する、証人となる」と訳したほうが具体的なイメージが湧くかもしれません。それは単に言葉で自分の考えを述べる、ということではありません。ある事件の証人とはその出来事を確かに見たり経験したりした人を意味します。自分が「見たこと、経験したことを語る」のが「証言する」ということなのです。洗礼者ヨハネは何らかの仕方で神から「後から来られる方」を示されたからこそ、その方について証言したのでしょう。
 「証しする」のは言葉だけではないはずです。「キリストの証人となる」というとき、いくら言葉で語っても伝わらないと感じることは多いのです。もちろん、「わたしはこのような体験の中でイエスを知った、イエスの愛を感じた」というような言葉には力があります。しかし、もっとも力強いのは、イエスと出会って人が変えられた(救われた)、ということがその人の生き方の中に表れるときではないでしょうか。教会の「殉教者」という言葉の原語martys(マルテュス)は、もともと「証しする人」の意味でした。殉教者とは、言葉よりもその生涯と死をとおして、キリストを証しした人々なのです。キリスト教は、難しい神学ではなく、このような「証し」によって受け継がれてきた、と言っても過言ではありません。わたしたちにとってイエスを証しするとはどういうことでしょうか?

  (4) ヨハネは「光について証しをするため」(1章7,8節)に来ました。そして「その光は、まことの光で、世に来てすべての人を照らす」(1章9節)と言われます。
 「闇の中に光が輝く」ということは、待降節~降誕節全体を貫くテーマです。待降節と降誕節は「苦しみの季節」と「喜びの季節」と言った別々のテーマではなく、この一つのテーマが別の面から取り上げられていると考えたらよいでしょう。待降節は「わたしたちの救われていない部分、闇に覆われている部分、救いを必要としている部分」から救い主を見つめていきます。これは誰の中にもある面でしょう。そして、降誕節は「その闇の中にもうすでに輝いている、小さな、しかし確かな光」である幼子イエスを見つめるのです。これもわたしたちがどこかで経験していることではないでしょうか。
 クリスマスが来ても、わたしたちの闇が、苦しみが、問題がなくなるわけではありません。それでも「光は暗闇の中で輝いている。暗闇は光に打ち勝たなかった」(1章5節。後半は新共同訳とは別の訳)。降誕祭が冬至の季節に祝われるのもこのことと関連があるようです。寒い冬は確かに続いている。しかし、もう光の時が闇の時よりも長くなり始めているのだ!古代の人々が感じたこの喜びをわたしたちも感じとることができるでしょうか。




ダウンロードできます
「福音のヒント(PDF)」
 ※集い用に、A4サイズ2ページで印刷できます。


聖書朗読箇所

第一朗読 イザヤ61・1-2a、10-11


1主はわたしに油を注ぎ
主なる神の霊がわたしをとらえた。
わたしを遣わして
貧しい人に良い知らせを伝えさせるために。
打ち砕かれた心を包み
捕らわれ人には自由を
つながれている人には解放を告知させるために。
2a主が恵みをお与えになる年
わたしたちの神が報復される日を
告知〔させるために。〕

10わたしは主によって喜び楽しみ
わたしの魂はわたしの神にあって喜び躍る。
主は救いの衣をわたしに着せ
恵みの晴れ着をまとわせてくださる。
花婿のように輝きの冠をかぶらせ
花嫁のように宝石で飾ってくださる。
11大地が草の芽を萌えいでさせ
園が蒔かれた種を芽生えさせるように
主なる神はすべての民の前で
恵みと栄誉を芽生えさせてくださる。


第二朗読 一テサロニケ5・16-24


 16〔皆さん、〕いつも喜んでいなさい。17絶えず祈りなさい。18どんなことにも感謝しなさい。これこそ、キリスト・イエスにおいて、神があなたがたに望んでおられることです。19“霊”の火を消してはいけません。20預言を軽んじてはいけません。21すべてを吟味して、良いものを大事にしなさい。22あらゆる悪いものから遠ざかりなさい。
 23どうか、平和の神御自身が、あなたがたを全く聖なる者としてくださいますように。また、あなたがたの霊も魂も体も何一つ欠けたところのないものとして守り、わたしたちの主イエス・キリストの来られるとき、非のうちどころのないものとしてくださいますように。24あなたがたをお招きになった方は、真実で、必ずそのとおりにしてくださいます。


福音朗読 ヨハネ1・6-8、19-28


 6神から遣わされた一人の人がいた。その名はヨハネである。7彼は証しをするために来た。光について証しをするため、また、すべての人が彼によって信じるようになるためである。8彼は光ではなく、光について証しをするために来た。
 19さて、ヨハネの証しはこうである。エルサレムのユダヤ人たちが、祭司やレビ人たちをヨハネのもとへ遣わして、「あなたは、どなたですか」と質問させたとき、20彼は公言して隠さず、「わたしはメシアではない」と言い表した。21彼らがまた、「では何ですか。あなたはエリヤですか」と尋ねると、ヨハネは、「違う」と言った。更に、「あなたは、あの預言者なのですか」と尋ねると、「そうではない」と答えた。22そこで、彼らは言った。「それではいったい、だれなのです。わたしたちを遣わした人々に返事をしなければなりません。あなたは自分を何だと言うのですか。」23ヨハネは、預言者イザヤの言葉を用いて言った。
 「わたしは荒れ野で叫ぶ声である。
  『主の道をまっすぐにせよ』と。」
24遣わされた人たちはファリサイ派に属していた。25彼らがヨハネに尋ねて、「あなたはメシアでも、エリヤでも、またあの預言者でもないのに、なぜ、洗礼を授けるのですか」と言うと、26ヨハネは答えた。「わたしは水で洗礼を授けるが、あなたがたの中には、あなたがたの知らない方がおられる。27その人はわたしの後から来られる方で、わたしはその履物のひもを解く資格もない。」28これは、ヨハネが洗礼を授けていたヨルダン川の向こう側、ベタニアでの出来事であった。

Posted on 2020/12/04 Fri. 08:30 [edit]

category: 2021年(主日B年)

tb: 0   cm: --

トラックバック

トラックバックURL
→http://fukuinhint.blog.fc2.com/tb.php/863-9ceb8992
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

最新記事

カテゴリ

福音のヒントQRコード

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク


▲Page top